草戸千軒野ばら街道

芦田川や瀬戸川などの流域では、毎年5月頃、白い野ばら(ノイバラ)が咲きます。花に近づくと心地よい香りに酔いしれます。さらに秋には、赤い実をつけます。

トゲがあり、触ると痛いので注目されてきませんでした。

 

「世界バラ会議」が、福山市で2025年5月に開催されます。その決定を機にばらの原木である野ばらが注目され始め、私たちはこの地の野ばらについて調査しました。

草戸千軒の出土遺物の中に、野ばらの棘(写真)があることから、野ばらは草戸千軒時代以前からこの地に生息していたことが分かり、長い時代を私たちと共に生きてきたと考えられます。

そこで群生する野ばらの中で、草戸千軒があったと考えられる地域の約30本*に接する散歩道を「草戸千軒野ばら街道」と名付け、福山市のばらと歴史のメモリアル街道としました。

*2023年(令和5年)現在

 


草戸千軒は鎌倉時代後半の13世紀中頃に集落の形成がはじまり、室町時代後半の16世紀初め頃に消滅した町と考えられます。

出土遺物から、この集落の庶民の生活の様子が分かりました。

また、近隣(岡山県)の焼き物から遠隔地(愛知県)の焼き物、さらには中国の青磁や白磁が出土したことから、物資の流通・集散を兼ねた港町であったことも推定できます。

貴重な草戸千軒町遺跡の出土遺物を保管し、調査研究するため、平成元年(1989)3月に建物が福山市西町に完成し、同年11月に広島県立歴史博物館が開館しました。

 

・草戸千軒ビレッジ ・草戸千軒野ばら街道 友の会